この広い宇宙空間で、我々はたとえバクテリアのような微生物でさえいまだ発見できずにいる。だが最新の研究では、天の川銀河系内に我々の他に知的生命体が存在する可能性が非常に高いことが指摘されている。しかもそれは、なんと約110億年前から存在しているというのだ。


■太陽系によく似た「ケプラー444」恒星系

 我々の太陽系のような恒星系にこの地球に似た惑星があるとすれば、そこには生命が存在する可能性が高いことになる。では、それはいったいどこにあるのか?

 2015年に英・バーミンガム大学のティアゴ・カンパンテ氏をはじめとする国際的な合同研究チームが、太陽系から約117光年の位置にある観測史上最古の恒星を発見。NASAのケプラー宇宙望遠鏡によって見いだされたことから、ケプラー444(Kepler-444)と名づけられた。

milkywaygalaxy1.JPGExpress」の記事より

 我々の太陽の0.8倍ほどの大きさであるケプラー444の周囲を公転している5つの惑星は、地球よりやや小型で水星から金星の範囲内の大きさだと見なされている。これらの惑星はケプラー444の周囲を10日未満の周期で公転しており、一番遠い惑星でもその公転半径は太陽と地球の距離の10分の1以下である。このためケプラー444の放出エネルギーが太陽の8割程度だとしても、これらの惑星は近すぎて地表がかなり高温になるため、生命は存在していないと考えられている。

 しかし、ケプラー444恒星系が我々の太陽系とは大きく異なる点がある。それはケプラー444の年齢だ。我々の太陽系が形成されるはるか70億年前にケプラー444は誕生していたのだ。

milkywaygalaxy2.JPGExpress」の記事より

 そもそもこの宇宙が誕生したのが138億年前で、天の川銀河が誕生したのが132億年前と考えられているのだが、その20億年後にケプラー444が誕生したことが見込まれるという。したがって、その年齢は112億年(歳)だ。一方、太陽系はわずか45億年(歳)である。このケプラー444の老齢ぶりがさまざまな可能性を提供しているという。


■地球外知的生命体を発見する日は着実に近づいている

 バーミンガム大学のティアゴ・カンパンテ氏によれば、ケプラー444が誕生した112億年前にこうした地球サイズの惑星を従えた恒星系が形成されたことは驚異的であるという。

「地球サイズの惑星は宇宙の138億年の歴史の大部分にわたって形成されていることが現在わかっています。これによって、銀河の古代の生命の存在の範囲を指定することができます」(ティアゴ・カンパンテ氏)

 つまり、112億年前にも我々と同じような生命体が存在した可能性があるということになる。ケプラー444恒星系の惑星は生物の生存・繁殖に適さないものの、この時代に天の川銀河系に生まれた他の恒星系では我々の地球に似た惑星があり、太古の昔から生命を宿している可能性があることになるのだ。

 豪・シドニー大学のダニエル・フーバー博士は、ケプラー444恒星系の惑星がその恒星ととても近距離に位置していることについて次のように述べている。

「恒星と惑星が近距離にあることは、惑星の地表に液体の水がなく、放射線レベルが高いために生命の居住が不可能であることを意味しています。しかし、そうであってもケプラー444のような恒星の発見は、地球に匹敵する惑星が存在するかどうかについての重要な手掛かりを提供しています。私たちの太陽に似た恒星の周囲を1年間かけて公転する地球サイズの惑星の発見に一歩近づいているのです」(ダニエル・フーバー博士)

milkywaygalaxy3.JPG
Express」の記事より

どうやら我々が地球外知的生命体を発見する日は着実に近づいてきているようだ。